Category: blog - Tags: , - 2017.02.07

記憶喪失にならないように「The situation is under control」個展


4ヶ月前に「The situation is under control」の個展がとても良い気分で終了いたしました。批評家、キュレーター、コレクター、ギャラリスト、本の出版社の方々から沢山のご声援をいただいた事や、メディアの良い反応の結果に、心から感謝を申し上げます。(1)

特に、東京都現代美術館キュレーター西川美穂子氏のお言葉に納得させられました:「作家の経験と歴史と社会とが織り込まれた絵巻物のような展示。とくにアーティストに見て欲しい。」

私のアーティスト活動は正しい方向に向かっていると再確認でき、今後も考えさせる課題や刺激、日本アートの限界を押し広げることを実践していくつもりです。そうした新たなアート・プラクティスに取り組むことは、自分の可能性を広げる挑戦の連続です。それでも敬愛する日本の皆さんと感性の冒険をしていきたいと思っています。

その一方で、美術批評家名古屋覚氏からは思いがけない批評を受けました:「本当に日本が好きなら、現実的、戦略的に日本のことを考えて、日本のために何かしてほしい。」

私のアート・プラクティスは非常にオープンであり、ホームページ、この公式ブログ、フェイスブックにて、誰でも無料に、クリックひとつで研究できます。

この、ある意味での傷つきやすさ(vulnerability)を見せる姿勢は、美術家の基本・原点だと自負しています。これは、必然的にリスクがかかる事を意味します。そして今では、長い活動の経験によって、自らの本心、不安、真面目さを認められるようになり、自分が自分の一番厳しい批評家となっていることは大切な自己啓発です。

そしてこれらのアート・プラクティスを通じ、アーティストとなる方の参考情報となったら何よりです。と言うのも全て、日本の現代アート・レベルを上げるためと希望しております。
さらに、日本のアーティストたちが「what do you want your art to say to its viewers?」を意識したら、きっと、もっと素晴らしい作品を作れるだろうと信じています。

思えば、私が若い頃は、まだインターネットが存在せず、日本語をマスターするには大変な苦労をしました。
ベルリン大学時代、日本学の同級生は、ほとんどがドロップアウトしていきました。
しかもその80年代は、日本についての資料や知識が非常に乏しく、私の主な情報源は、西ベルリンの国立図書館、映画館(ベルリン映画祭で観た数々の日本映画で、寺山修司を知るきっかけとなる)、日本レストラン(ランチにVHSで2週間前のタモリの笑っていいとも!を見る)や、日本の書籍専門店 (1ヶ月前の雑誌を立ち読み)でした。

また、80年代から、ドイツの社会は大きく進化していきます。私が18歳から投票に入れていた「緑の党」が政府になったり、労働時間が1週間で約32~40時間に短縮し、残業問題はほぼ無に等しく、年間の有休は6週間が常識となっています。
一方、同じ年月が経ったとは思えないくらい、日本は政治的にも何も変わらず、長い労働時間や残業問題が逆に常識となり、海外旅行に行くとしても、30年前とほぼ同じ、たったの1週間か、せいぜい10日でしょう。

「The situation is under control」の個展では、それぞれの作品がsingularity(特異性)を持ち、そのほとんどが、より良い未来の日本社会に向けた解釈ができます。

「加えて、2012年のアートフェア東京で亜氏の新作油彩の幾つかを見て、私は彼を、日本で最も優れた油彩を制作する画家の一人、いや唯一の一人だと言ってもよいと思った。」(2) 名古屋覚氏が、この数年間の私の肩に、「およそ500年の歴史を持つキャンバスに油彩」を掛けてくださったことで、日本の油絵史において「現代コンテクスト」と新しい道を開き、前に進む可能性を示せていたんだと咀嚼いたしました。

展覧会をご覧になっていない方へ、また、記録や参考のために、すべての展示作品をこちらにアップいたします。
どうぞ、このブログ・エントリーを通じ、作品1点1点を、ゆっくりと鑑賞し、アーティストと社会が相互に作用することを読み取って、記憶喪失にならないように、再認識してみていただけたら、嬉しいです。宜しくお願い致します。

東京、2017年2月5日
亜 真里男

補遺
(1)
「2012年8月17日、国会前「ATOMKRAFT? NEIN DANKE」(原子力?おことわり)+「国民の声」2016年作に関して、「近美(東京国立近代美術館)に入れるべき」というコレクターの声もありました。

(2)
批評家名古屋覚:亜 真里男「日本で最も優れた油彩を制作する画家の一人、いや唯一の一人」
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/sjrQ6Vw7NI3KkPEhctUq/

ARTiTへのリンク:
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/5mhyMjAD2vcgdQaTIE30/



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