Category: blog - 2013.08.23

新作「When wrong attitudes become radioactive rice」2013

現状の流れで、鑑賞者に不快な危機感を感じて頂く目的で新作を創造しました。つまり、「Cool Japan」のように、「bon mot」の文脈、私のアート・プラクティスを折衷的なパラマウントとした概念で構成しました。と言うのも、2年半近くが経ちましても、東日本大震災関係の仮設住宅問題の苦しみが終わらず、「Atom Japan」を代表する福島第1原発の汚染水が海洋に漏れ、7月26日には放射性セシウムが、1リットル当たり23億5000万ベクレルの発表がされました。

国内だけではなく、世界の「仁義」にも非常に悪い態度、wrong attitude、を示している日本政府と東京電力に、恥を知り耐えなければなりません。しかも、選挙結果では、社会の精神虚弱の輪郭が見えてきました。その参院選投票率は52.6%で、つまり、あなたの隣の方は現在の日本社会、経済、文化へ無関心なのです。当然、将来の動きもマリオネットであり、消耗品扱いの兵士としての人生を選んだも当然です。考えさせるヒントになる、一つの声を紹介させて頂きますと:「職場の人はデモって??選挙って行かなきゃいけないの?(平成生まれの若い子達ですが)という感覚で、同じ人と人なのにギャップが大きくて…」

ベネチア・ビエンナーレやバーゼル・リステの関係で、原発を完全に停止したスイス、イタリア、ドイツを訪ねた私に、「あなたの国、日本はどうなっていますか?」と何度も聞かれました。私は「憲法改正、国防軍への改組、ヒロシマ・ナガザキ・フクシマにも関わらず、我が国にっぽんは原子力発電の再稼働や海外輸出の行動をしている」という困った答えしかできませんでした。この「Uncool Japan」の中で、やりとりしているアーティストはどういう姿勢を示せば宜しいのでしょうか? 家庭生活、作家活動の積極性、趣味と経済力によって、約70年間のアーティストとしてのタイムラインと優先順位がありますので、答えはそれぞれ錯綜しています。

現状をよく見れば、外国の方々に「日本の風潮は反原発派になっています」という答えも最近言えるようになりました。このパラドックスは、実は公衆の意見に対する正しい発言であると言えるでしょう。私のアンテナによると、現代日本アート界には、アーティスト、キュレーター、ギャラリスト、コレクター達はほとんど反原発の立場を持っています。つまり、選挙結果からすると、我々はマイノリティです。しかし、最先端な行動 (展覧会、デモ参加、アクティビストの発言)を通して非常に強い影響力を持ち、原発に対して、この2年間、日本の国民にパラダイム・シフトを動かす力を示しています。個人的には、アフリカ系米国人のオバマの大統領選挙、ドイツの平和運動と緑党の20年間の活動は、若い人にもいいヒントを与えてくれると思います。保守党のメルケル首相が原発を止めた原因は、ドイツの中流階級層の環境問題に対する認識論が高まったからです。これらの事から、時間が経てば、次第に日本の中流階級層にも同じ認識を持たらし、当然、六ケ所村の問題まで追求する事になるでしょう。

さて、アーティストの製作に対して、どういうふうに期待すれば良いのでしょうか?何を選択し、何を創造するか、その結果に、シニカル根性を持つ作品が多々あります。例えば、次の例を指摘すると、現在「オタク」を代表している村上隆のソウルのある美術館の回顧展や幕張メッセでのワンダーフェスティバルで展示された約16億円の価値を持つフィギュア、べネチアのパラッツォ・グラッシでのルドルフ・スティンゲル展のフォトショップ・ペインティング、又、1999年に坂本龍一がプロデュースした海外で人気の「Snakeman Show」を含まれている「昭和64」音楽のアルバム。はっきり言わせて頂くと、一般の鑑賞者達は、ナラティブを直接的に受け取ります。アート・音楽の歴史の知識に関係なく、上に申し上げた作品群のシニシズムを読み取れなければ、作品の本当の意味は解らない事になってしまいます。その作者の国と文化の背景に対しても理解に欠けているなら解釈違いになるでしょう。

日本人同士の会話は曖昧さや、KYが多く、誤解が生じる事が少なくありません。まして外国語力が不十分であるなら、日本の外での、自分の表現はもっと理解されない可能性があります。その原因で、私はアーティストの製作に対してシニシズムを認めません。人間と人間、アーティストとオーディエンス、誤解されないように、解りやすくコミュニケーションをとるべきではないでしょうか?一方、誤解と関連する差別言葉の扱いで、一部の国民は憤慨し、危ないモッブ行動へ変動します。2012年9月18日に中国の110都市で反日デモが行なわれました。よく注視してみると集団行動による国内戦争や日本との戦争を示唆する可能性がありました。その背で、「日本は原子爆弾を持つべき」という意見を発信する石破 茂のような政治家もいます。社会の事象などを無視する態度に反発するために私の作品を直接的に読み取って欲しいです。

去年の「Japan = Atom」に続き、3年連続で、渋谷、官邸前、国会議事堂前などで反対デモをし、今年「When wrong attitudes become radioactive rice」を製作しました。東京清澄白河、Tomio Koyama Galleryの隣にあるSprout Curationで「SOMANYIMAGES」のグループ展に参加させて頂き、初日には普段より多くの方々とお会いできました。

同じ日についての感想の文章を紹介させて頂きます:
「亜 真里男+@Sprout Curation
<07/27/13〜09/21/13>蛍光色の黄色はイエローカードなのか、あるいは放射線を放出する物質という意味なのか、チェルノブイリで使用済みのガイガーカウンターがぶきみなシグナルを表示している。配下には米袋。そして今年ベネチアビエンナーレで特別賞を受賞した日本館のまえで、アート雑誌の編集長とその知人がたたずむ一枚の写真。それぞれのオブジェクトによって紡ぎだされる世界は、作者自身のポートレートといえる。《SO MANY IMAGES》をテーマに、他にも多くの作家が独自のイメージに挑戦している。」courtesy by 塩入敏治さん。

福島県のお米と木材、チェルノブイリと関連するロシア産ガイガー・カウンターが展示されてあります。ガイガーの音が気になりますが、そのほか、2012年べネチア・ビエンナーレ国際建築展において、日本館(伊東豊雄コミッショナー、国際交流基金主催)がパヴィリオン賞(金獅子賞)を受賞した時の東日本大震災を隠喩する木の幹。それらは意識的に、今開催中のベネチア・ビエンナーレで特別表彰に輝いた日本館でも展示され、「東日本大震災の経験を他者と共有することは可能か」と問う田中功起さんの企画展と関係しています。

今年は、その真剣な課題とは別に、大喜びがたくさんありました。会田誠くんの森美術館展、田中功起くんと青山秀樹さんのベネチア・ビエンナーレとバーゼル・リステでの大盛況。ARTiTの元編集長小崎 哲哉さんとは約25年間お付き合いしており、日本館前での突然の再会時に撮った記念写真。良く見れば、リクリット・ティラバーニャのTシャツを着ていました。私は、そこに書いてある文章「ASIANS MUST EAT RICE」が、とても気になりました。特に、英語の「MUST」のニュアンスはさまざまです。例えば、「べき」ではなく「必要」の解釈もできます。それぞれの国の文化によって、受け取り方があります。「RICE」という言葉は今話題のTPP問題まで発展しますし、この「MUST EAT RICE」という言葉は素晴らしいテーマ性があります。しかし、「西洋のモダニズム」には、議論しにくい論題です。かつて日本の国民の一部はタイのお米を捨てた時期がありましたが、タイ人のティラバーニャさんのお言葉だからこそ、それも忘れてはいけません。「MUST」not forget。

次に重要なポイントは、ハラルド・ ゼーマン(1933年-2005年)の存在です。1999年と2001年にベネチア・ビエンナーレのアーティスティック・ディレクターを務め、「Curating after Szeemann」という標語は今も胸に響いています。彼に敬意を払うため、私の作品題名は「When attitudes become form」展(ベルン、1969年)を参考にしました。西洋、アジア(日本を含む)、その他世界のアートの歴史上、革命的で、次の世代のキュレーターや、アーティスト達に強い影響を与えた「叙事企画展」でした。

この度、ベネチアのプラダ財団が1969年の会場空間と作品構成を含めて再現した展覧会を観る事ができました。スイスに住んでいらっしゃる、アーティストの奥さまIngeborg Lüscherさんともこんにちまで親しみ深いメールのやり取りをしています、、、多角的複合体「When wrong attitudes become radioactive rice」を9月21日までにSprout Curationに観にきて頂ければ嬉しいです。精密なマイクロ・コスモスから我々の社会のマクロ・コスモスまでの記号化を解読する課題は私と鑑賞者の対話劇です。と同時に、日本の現代アートのダイナミズムと謎めいた魅惑、我々の「今とのビジョン」を表現するアート実行を体験して頂きたいです。広島で追悼法要の今日、ヒロシマ・ナガザキ・フクシマの被曝者の方々と共に深く頭をさげて、故犠牲者の方々への追悼の意を表します。

東京、2013年8月6日

亜 真里男

亜 真里男
亜 真里男「When wrong attitudes become radioactive rice」, 2013, detail
oil on canvas, photograph, Russian Geiger counter, rice and wood from the prefecture of Fukushima

食安発0315第4号 平成24年3月15日
厚生労働省医薬食品局食品安全部長
食品中の放射性物質の試験法について
http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/shikenhou_120316.pdf

フクシマ

Harald Szeemann「When attitudes become form」Bern 1969 / Venezia 2013
Harald Szeemann 「When attitudes become form」Bern 1969 / Venice 2013