「Art Collector」
June 2009 pp. 36
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亜 真里男(Mario A.)が
選ぶ海外幻想美術
水墨・欧米絵・幻想の 現代喜美
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桜の季節に入ると心が明るくなり、想像の世界には、新しい仕事、人間関係、愛な
ど……様々なことが浮かんでは消えていく。
私の場合、最近の展覧会、映画、本、音、植物の香りなどをきっかけに白日夢にふ
け、幻想の世界へ。昨晩は夢の中での作品製作、心は揺れ動く。イーゼルの前に座れ
ば、朝の太陽、音楽、会話、ニュース、インターネットでのやり取りetc 、これらは
まさに筆運びに影響を与えるようだ。
しかし、精神の安定と集中力も必要。絵の内容によっては何年間もキャンバスと対
峙する事もあって、作品はより深みのある形而上学なレヴェルへ飛翔する。技法にお
ける実験的な試みは作品に喜びを与え、今までにはないコンセプトを生む。今、私は
雅語的な新作品の制作へと向かっているところだ。製作が進むと、私は喜んで絵画が
オートマティックに作られていくのに自分をまかせる。強いコンセプト、理性的な作
業は私がイニシアティヴをとる。幻想美術の制作はその両極を行ったり来たり。和洋
折衷の絵の制作は私の多音道。精神、身体、秘密の筆、新油絵具、テレピン、時間、
構造、錬金術の幻想オーケストラ。
さて、同じように海外の幻想美術を見てみる。まずは、セシリー・ブラウンやリサ・
ユスカヴェジ。ふたりの女性画家の絵の中には挑発的でエロティックな要素があり、
そのファンタジーの中に日本美術史の一つの原点である「人形」「美人画」が読みと
れる。寺山・澁澤界、H・ベルメールの新ジェンダー版のように思える。
人間の心理、社会性が平面の上で交差している作品としては、ダニエル・リヒター
やピーター・ドイク。彼らはキャンバスに描いた油絵の上からテレピンをかけ、油絵
具が溶けるままにまかせ、幻想的な画面を作り出す。ダリやエルンストのデカルコマ
ニーの幻想作品を見事に進展させた。
東ヨーロッパという地域性から、西や米国の現代美術の流れから取り残され、保守
的な筆扱いのネオ・ラオホやミヒャエル・ボルマンス達は無気味な非現実を説話的に
語り、ここにきて高い評価を受けている。
インスタレーションでは、草間彌生、エルネスト・ネト、オラファー・エリアソン
などは、パブリック・スペースや美術館の空間を幻想的に変化させる超絶作家。今
年のMoMAでは、ピピロッティ・リストの魅惑的なヴィデオが親子連れに大人気だった。
私のもう一つの楽しみは、白黒写真または墨絵。崇高的、洗練されたストロークで
神秘的に我々を魅惑する。墨絵的な画家としてはM・デュマス。彼女は都現美やMoMA
で高評価、北京オリンピックで大活躍した蔡國強は煙硝材料で可能性ある冒険的な妙
技を見せている。
やっぱし、美術愛好家さま、われわれ芸術家の幻想界に浸り、画廊や美術館の特別
空間で俗界を忘却して頂き、腕を組んで、味わいましょう。展覧会 fantastique! |